2026.02
本日は、株式会社ユニリタにて広報IR室で活躍される野口様にお話を伺います。営業職からIRへキャリアチェンジされ、長年の実務経験を持ちながらも、なぜ今「CIRP(認定IRプランナー)」資格の取得を目指されたのか。組織の変化に伴う「自律」への挑戦と、体系的な知識が実務にもたらした変革について深掘りします。
<Profile>
株式会社ユニリタ 経営戦略本部 広報IR室
野口 祐紀子 様
新卒で株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー(2015年4月に現ユニリタに合併)に入社し、営業を経験。2016年、社内公募制度を利用して広報IR室へ異動。以来、四半期決算開示、機関・個人投資家との対話、株主総会運営支援、資本政策の実務など、IR業務全般を幅広く担当。現在は「自律型イノベーション人財」としてのさらなる成長を目指し、IR活動の企画・立案を主導している。――まず、IRプランナー(CIRP)資格を受験されたきっかけや背景についてお聞かせください。
きっかけは、組織体制の大きな変化でした。私が2016年に営業から異動してきた際、私をIRの世界に引き入れてくれた当時の上司は、IRや広報に30年以上従事してきたベテランでした。私は長らくその上司の下で、実務を担うアシスタントとして業務を行ってきました。 しかし、その上司が定年を迎え、体制が変わるタイミングが訪れました。新しい上司の組織運営の方針は、各担当者の自律的なアクションを重視し、私自身がいつまでもアシスタントのままではいけないという危機感を抱きました。また、会社の方針として「自律型イノベーション人財の育成」が掲げられていたことも後押しとなり、「アシスタントとしてではなく、自律したIRの担当者として会社に貢献したい」と考えたのが大きなきっかけです。そこで、上司との面談で個人の成長目標を話し合う中で、IRに関連する資格としてCIRPを見つけ、「これを機に体系的に学び直し、結果を出そう」と受験を決意しました。――ご自身のキャリアや現在の立場において、この資格にどのような意味がありましたか。
実務経験を通じて、「決算業務の流れ」や「適時開示のポイント」といった個別の知識は持っていました。しかし、それらはあくまで経験に基づいた「点」の知識であり、体系立てられたものではありませんでした。 特に、資本政策や新しい施策を企画する段階で、「なぜこの施策が必要なのか」「これらを組み合わせるとどのような効果(アウトプット)が出るのか」を論理的に説明するためのベースとなる知識が不足していると感じていました。役員に対して企画を提案し、採用にこぎつけるためには、納得していただくためのロジックが不可欠です。「点」の知識を「線」や「面」につなげ、企画者としての説得力を持たせるために、知識の土台を埋める必要があると強く感じていました。――IRプランナー講座受講において特に苦労された点や難しかった点はどこでしたか?
最も苦労したのは、やはり企業分析の分野です。特に、資本コストや企業価値評価に関する計算式には苦手意識がありました。実務の中では、日々の開示業務や投資家対応に追われ、実際に自分で数式を書いて計算する機会はほとんどありません。 また、レポート課題も印象に残っています。テーマに対して600字程度を手書きで記述する形式でしたが、学生時代以来の手書き作業で、書き直しがきかないというプレッシャーがありました。「この構成で最後まで走り切れるか」と冷や汗をかきながら取り組んだのも今ではよい思い出です(笑)。
――講座が役に立ったのはどんな点だったか教えてください。
講座のテキストは非常に詳細で、講師の方もアナリストご経験者やIR役員ご担当者など幅広く、豊富な実務経験をお持ちだったため、話を聞いていて非常に腹落ちする内容でした。特に、これまであまり理解しきれていなかった「資本コスト」の計算式について、数式の意味を因数分解して解説していただいたことで、それまでの疑問が解消され、「なるほど!」と深く納得できました。 また、学習プロセスにおいては、テキストだけでなく、YouTubeや会社で導入している動画学習サービス「グロービス」などを活用し、専門的な内容を噛み砕いて理解する工夫をしました。 さらに、講座を通じて知り合った受講生同士で「勉強会」を開催できたことも大きかったです。週末にカフェに集まり、テキストを持ち寄って「ここの解釈はどうなるのか」と議論し合いました。社外に横のつながりができ、互いに切磋琢磨できたことは、モチベーション維持にも役立ちました。レポート作成時には、IRに詳しい元上司にフィードバックを仰ぐなど、周囲の協力も得ながら準備を進めました。――実務やキャリアにおいて、どのように役立っていると感じますか?
最大の成果は、実務担当者としての自信と説得力が向上したことです。これまでは、何かを提案する際に「過去はこうだったから、こうしたいと思います」という、経験則に基づいた推測で話すことが多くありました。しかし、これでは聞く側も「本当にそうなの?」と懐疑的になってしまいます。 資格取得後は、体系的な知識という裏付けがあるため、前提やロジックを相手にも納得感のある形で伝えられるコツがわかり、少し成長できたのではないかと感じています。この変化は自分自身の中では大きく、社内での説明や役員への提案においても、相手に与える安心感が全く違うと感じています。――今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?
いずれは、IR活動全体をマネジメントできる人財になりたいと考えています。単に実務をこなすだけでなく、自分が理想とするIR活動を描き、それを実現していくためのリーダーシップを発揮していきたいです。 また、組織作りという点でもこの資格を活かしたいです。今後、新しくIR担当になるメンバーには、ぜひこの資格の取得を勧めたいと考えています。チーム内に共通言語があることで、意思決定のスピードや質が格段に上がります。「なんとなく」ではなく、「この理論に基づけばこちらの方がよいのではないか」と議論できる土台を作ることで、組織としてのIRでの発信力・対話力を高めていきたいです。――これからIRプランナー(CIRP)資格を持つ人材はどのように求められると感じますか?
多くの企業において、IR担当者のリソースは限られており、簡単に増員できるものではありません。その一方で、東証からの要請や市場環境の変化により、IR人財への需要と求められる専門性は高まり続けています。 これまでは「IR経験がある」こと自体が価値でしたが、これからはそこに「体系的な知識を持っている」という客観的な証明が加わることで、市場価値はさらに高まると感じています。CIRP資格は、実務に直結する知識を網羅しており、取得することに明確な意味がある「使える資格」です。 特に、私のように実務経験があっても「知識が点在している」と感じている方や、これから組織の中核として自律した人財に成長していきたいと考えている方にとって、この資格は大きな武器になります。経験則から脱却し、論理的な裏付けを持って業務にあたることで、社内外からの信頼を勝ち得ることができると思います。 — 野口様、本日は貴重なお話をありがとうございました。