2025.12
CIRP試験に合格された日本ケミコン株式会社 大沢様にお話を伺いました。
<Profile>
日本ケミコン株式会社 経営戦略部 IRグループ グループ長
大沢 宏亮 様
日本ケミコン株式会社でIRを担当。これまでに国内営業・営業企画・Webマーケティング・IT企画などを経験。投資家の視点を意識し、ニーズに応えるわかりやすい情報発信を心がけている。座右の銘は”人事を尽くして天命を待つ”。※2025年12月取材当時
――まず、IRプランナー(CIRP)資格を受験されたきっかけや背景についてお聞かせください。
私は元々、営業企画、IT企画など異なる部署を経験しており、2024年11月にIR部門のグループ長として着任しました。IR担当としてのキャリアはちょうど1年になります。 着任してすぐに痛感したのは、IR業務には「知識が幅広く必要」であるという現実でした。当初はファイナンスの知識を優先的にインプットしていましたが、実際にはマーケットの動向、コーポレート・ガバナンス、ESG、会社法、さらには自社の過去にわたる戦略的背景や沿革に至るまで、極めて多角的な視点が求められることがわかりました。私が着任した時期は決算発表の直前でした。
IR担当者としての経験や知識とは関係なく、企業の開示義務はスケジュール通りに進むため、市場との対話は「待ったなし」の状況でした。少数精鋭のIR体制のため、実務対応と知識習得を短期間で集中的に、並行して行わなければならない状況でした。そしてとにかく効率よく、漏れなく、そして網羅的に知識を習得できる手段が必要だと感じ、CIRP講座の受講と受験を決意しました。
――IRプランナー講座の受講や、資格取得において特に苦労された点や難しかった点はどのような点でしたか?
やはり学習範囲の広さと分量には苦労しました。テキストだけで約400ページあり、財務だけでなく適時開示や法務的な知識まで網羅されています。試験日が決められている中で、実務を行いながらこのボリュームを消化するために、学習時間の確保には工夫が必要でした。学習範囲の広さは難しさだけでなくメリットも感じました。着任当初、市販テキストや動画などで勉強していましたが、独学ではどうしても自分の興味がある分野や、わかりやすい内容に学習が偏ってしまいます。
一方でCIRPの講座は、網羅性が高く、強制力があります。重要でありながら深掘りの機会は他業務に優先されがちな資本コストの計算などを、試験対策として自ら手を動かして解く必要があります。苦手な分野や手薄になりがちな領域も含めて、強制的に向き合い、理解しなければならない点が、大変でありながらも最も身になった部分だと感じています。
――講座が役に立ったのはどんな点だったか教えてください。
最大のメリットは、投資家との対話において、投資家の言葉の背景を、より深く理解できるようになったことです。もともとIRとして必要な基礎知識は押さえていましたが、講座を通じて数字の背後にある前提やロジック、評価の枠組みをより体系的に理解できるようになりました。投資家がどのようなバックグラウンドを持ってその数字を見ているのかが分かるため、より自信を持って対話に臨むことができるようになったと感じています。また、自分の中で知識の抜け漏れを補完できた点も大きいです。
IR業務は多岐にわたるため、担当者によっては知識が偏りがちですが、CIRPを通じて体系的な全体像を掴むことができました。これは、動画サイトなどの断片的な情報収集では得られない、体系化されたカリキュラムならではの価値だと思います。
――実務やキャリアにおいて、今後、この資格をどのように活かしていきたいですか?
まず、CIRP資格はIR担当者にとっての「最低限の共通言語」であり、運転免許証のようなものだと考えています。市場との対話を行う以上、このレベルの体系的な知識を持つことは、投資家との対話を担当する者としての責任です。資格取得は、そのベースラインに到達したことの自信と証明になります。今後は、この知識を活かして、経営陣と市場の要求とのギャップを埋める役割を強化していきたいと考えています。
現在、企業は資本コストや株価を意識した経営を求められていますが、具体的な市場の声を経営層が認識する事も重要です。IR担当者が市場の声を的確に経営にフィードバックし、全社の意識を変えていくためにも、今回学んだ専門知識を活かしていきたいです。 また、「IRプランナー」という資格名そのものが、社内でのIR職種の専門性を示す指標となり、結果としてIR機能への理解・認知度向上につながると感じています。
――これからIRプランナー(CIRP)資格を持つ人材はどのように求められると感じますか?
東証の市場改革により、IR担当者は単なる「開示担当」ではなく、企業価値向上に貢献する戦略的なパートナーとしての役割が求められています。ファイナンス、法務、経営戦略が交差するIR業務は非常に専門性が高い仕事です。これからIRを目指す方、特に新しく配属された方にとって、CIRPは効率的な立ち上がりのための羅針盤になります。
また、組織の人数が少ない企業や、逆に業務が細分化されている大企業の担当者にとっても、知識の偏りを防ぎ、IRの全体像を俯瞰するための最適なツールになるはずです。 私自身、異職種からの転身でしたが、この学習を通じて視野が大きく広がりました。経営視点を持つ人材へと成長するために、ぜひこの体系的な学びを活用してほしいと思います。 — 大沢様、本日は貴重なお話をありがとうございました。